りんごのなる樹

芝居にゲーム、お絵かき占い時々真理

裁判官の冷酷に鳴り響くハンマーの音

「判決。被告人は大量殺人の罪により死刑。最後に何か言い残すことは?」

「一つだけ」

「なんだ?」

「僕はこれまでたくさんの人を殺しました。
もちろんその全員が自分自身です。
歌を歌いたかった自分。
踊りを踊りたかった自分。
絵を描きたかった自分。
好きな人を押し倒したかった自分。
友達に言いたい事を言いたかった自分。
弟にあげた最後の唐揚げが欲しかった自分。
1人っきりになりたかった自分。
自分をやめたかった自分。
他にもたくさんの自分を殺して生きてきました。
そして今度は、自分を殺した自分を殺そうとしている」

「そうだ。君を殺すことで何人の君がいきていけるだろうか。もちろん僕も生きていくことができる」

「そうですね。僕を殺す事で素晴らしい世界が見えてくるかもしれません。

でも、それは僕を殺す前の世界とはあまり変わらないと思います。
それに、僕はたくさんの僕を殺して生きてきましたが一つだけ確かな真実にたどり着きました。僕はたくさんの僕を殺しましたが、今僕は生きています」